再生医療
- HOME
- 再生医療
動物の再生医療とは

再生医療は、損傷した組織や臓器の再生を促進し、自然治癒をサポートする治療法です。特に動物医療においては、再生医療技術が進展し、ペットの病気やけがに対する新しい治療オプションが登場しています。
当院では、ステムキュアを用いた治療と、動物再生医療技術研究組合による幹細胞治療の臨床研究を対応しております。
いずれも他の同種動物からの細胞提供による体性幹細胞を用いており、万能細胞ではないものの腫瘍化するリスクがないことと、患者さんからの細胞の採取/培養が不要である点がメリットとなります。
ステムキュア(StemCure)とは

ステムキュアは、犬の胸腰部椎間板ヘルニアに対する再生医療製品です。
特に、保存的治療や外科的治療を試しても十分な効果が得られない場合に、追加の選択肢としておすすめされます。幹細胞を使って損傷した椎間板の修復をサポートし、自然治癒力を高めます。
どのような症状に効果があるの?
ステムキュアは、次のような椎間板疾患の症状を持つ犬に効果を期待できます。
- 後ろ足を引きずる
- 痛みで動きたがらない、または動きが鈍くなる
- 歩行が不安定で転びやすくなる
- 背中や腰に触れると痛がる
- 後ろ足に麻痺が見られる
麻酔や手術のリスクが高い併発疾患を持っている犬や、高齢の犬、またはハンセンⅡ型のように外科手術が適応しにくい場合でも、ステムキュアは新しい治療の選択肢となることがあります。
ステムキュアの特徴
- 他家細胞を使用…ペット自身から細胞を採取する必要がなく、治療が迅速に行われます。
- 椎間板疾患に特化…ステムキュアを用いることで、損傷した椎間板の再生を促し、神経の圧迫を軽減して痛みや麻痺を改善します。
- 静脈点滴による投与…麻酔や鎮静が不要で、高齢のワンちゃんでも安心して受けることができるペットにとって優しい治療法です。
ステムキュアの適応患者
ステムキュアは、特に次のようなケースに適した治療法です。
- 保存的治療や外科的治療で改善が見られない場合
- 麻酔や手術のリスクが高い併発疾患を持つ犬
- 高齢の犬、または体力が弱い犬
- ハンセンⅡ型など、手術が適応しにくい疾患
治療の流れ
STEP01
幹細胞または
イヌ血小板由来成長因子の投与
1週間に1度の頻度で合計4回、静脈点滴を通して幹細胞が投与されます。
STEP02
お預かり・お迎え
投与日は午前中にお預かりし、夕方にお迎えに来ていただく形になります。
STEP03
経過観察
症状の改善が数週間から数ヶ月で期待できます。
安全性について
ステムキュアで使用される幹細胞は厳格な管理の下で培養され、安全性が確認されています。さらに、他家細胞を使用することで腫瘍化のリスクが非常に低く、安心して治療を受けられます。
詳細は、公式サイトをご覧ください。
動物再生医療技術研究組合(PARM)
の幹細胞治療とは

動物再生医療技術研究組合(以下PARM)は、農林水産省、経済産業省の認可を得て、2019年12月10日に設立・発足した組織です。動物の慢性疾患や難治性疾患に対して、幹細胞を活用した再生医療の研究を進めています。自由診療の範囲で、組合で定めた対象疾患および規則に基づいて実施するものであり、薬事承認を前提としているものではございません。他家幹細胞を用いた治療法を開発し、臨床研究を通じてその有効性と安全性を確認しています。
ステムキュアとの違い
■ステムキュア概要
ステムキュアは、犬の椎間板ヘルニアに特化した医薬品です。
厚生労働省に認可された動物用再生医療製品であり、同種幹細胞を使用しているため、ペットから幹細胞を採取する必要はありません。
適応疾患の違い
ステムキュア:犬の椎間板ヘルニアのみが適応。
PARMの幹細胞治療:幅広い疾患に対応し、慢性腸症、関節炎、非感染性髄膜脳脊髄炎、再生不良性貧血など多数の疾患に対する治療が研究されています。
詳しくは下部の表をご覧ください。
投与方法の違い
ステムキュア:静脈点滴での投与のみが許可されています。
PARMの幹細胞治療:局所投与や静脈内投与など、症例に応じて柔軟にアプローチが可能。
治療の流れ
STEP01
幹細胞または
イヌ血小板由来成長因子の投与
対象となる疾患により、種類、頻度、投与経路が異なります。
STEP02
お預かり・お迎え
大体の場合、投与日は午前中にお預かりし、夕方にお迎えに来ていただく形になります。
STEP03
経過観察
症状の改善が数週間から数ヶ月で期待できます。
安全性について
PARMに参画するアニコム先進医療研究所株式会社にて、数種類の安全性試験を実施し、細胞の安全性を確認しております。
また、細胞培養過程においても、生物安全性(コンタミネーションの発生有無など)の確認をしております。
詳細は、公式サイトをご覧ください。
PARMの幹細胞治療が適応される犬と猫の疾患一覧
犬
カテゴリ | 疾患名 |
---|---|
消化器疾患 | 慢性腸症(CE) |
肝胆膵疾患 | 肝炎、膵炎 |
血液疾患 | 免疫介在性溶血性貧血(IMHA)、免疫介在性血小板減少症(IMTP)、 非再生性免疫介在性貧血(NRIMA)、赤芽球癆(PRCA)、再生不良性貧血(AA) |
内分泌疾患 | 糖尿病 |
泌尿器疾患 | 慢性腎臓病、急性腎障害 |
神経疾患 | 椎間板ヘルニア、非感染性髄膜脳脊髄炎、外傷性脊髄損傷 |
骨・関節疾患 | 関節炎(変形性関節症・免疫介在性多発性関節炎) |
皮膚疾患 | アトピー性皮膚炎、天疱瘡(尋常性、落葉状) |
眼科疾患 | 乾性角結膜炎 |
猫
カテゴリ | 疾患名 |
---|---|
消化器疾患 | 慢性腸症 |
肝胆膵疾患 | 胆管肝炎、膵炎 |
血液疾患 | 免疫介在性溶血性貧血(IMHA) |
内分泌疾患 | 膵炎続発性糖尿病 |
泌尿器疾患 | 慢性腎臓病、急性腎障害 |
呼吸器疾患 | 喘息 |
神経疾患 | 非感染性髄膜脳脊髄炎、外傷性脊髄損傷 |
骨・関節疾患 | 関節炎(変形性関節症、免疫介在性多発性関節炎) |
皮膚疾患 | 天疱瘡(尋常性、落葉状) |
口腔疾患 | 慢性口内炎 |
感染症 | 猫伝染性腹膜炎(FIP)※wet型のみ |
幹細胞治療は、幅広い疾患に対して有効な新しい治療オプションとして、飼い主の皆さまにご提供しております。
高齢や併発疾患を持つ動物でも、外科的治療が難しい場合に新たな選択肢として期待されています。
再生医療のメリットと今後の可能性
再生医療は、従来の治療法では難しかった病気や怪我に対して新しい治療オプションとなります。
特にステムキュアや動物再生医療技術研究組合による幹細胞治療は、ペットの自然治癒力を活かし、薬物や手術に依存しない治療法として大きな可能性のある治療です。
まだ情報も少なく、検査結果などの情報提供をお願いしながらの実施となりますが、ご興味のある方は当院までご連絡ください。

南仙台どうぶつ病院へのご予約・お問い合わせは
下記までお気軽にご連絡ください。
〒981-1106 宮城県仙台市太白区柳生4丁目10-3
022-738-8508
時間外診療はLINE公式アカウントから
のみ受け付けております。
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
9:00~12:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
16:00~19:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |